20年ぶりの新作『鬼武者 Way of the Sword』を、全サブクエスト踏破で40時間遊びました。結論から言うと、剣戟アクションとして非常に高い完成度です。ただし「誰にでも勧められる」わけではないと思います。クリア時間、難易度、ラスボス、そして「これは鬼武者なのか」という問いに、実際に遊んだ立場からレビューしていきます。
結論早見表
| 総評 | 剣戟の手触りは今年屈指。 ストーリーは王道、テンポは人を選ぶ |
| クリア時間 | 私は40時間超(剣戟モード・全サブクエ)。 より短い時間で全踏破した報告もある |
| 難易度 | 活劇(物語重視)/剣戟(戦闘重視)/鬼殺(最高難易度・クリア後に解放) |
| ラスボス | 強い。初見は瞬殺。ただし覚えゲー |
| 向く人 | パリィで戦うアクションが好き。SEKIROが好き。鬼武者に思い入れがある。サブクエで物語の余白を楽しめる |
| 向かない人 | テンポ重視で物語を追いたい。 探索で迷うのがストレス。アクションが苦手 |
| メタスコア | PS5版 85点/Switch 2版 90点(Metacritic・2026年9月15日時点) |
| 発売・機種・価格 | 2026年9月4日/PS5・Xbox Series X|S・PC・Switch 2/通常版8,990円(税込) |
20年ぶりの鬼武者と、ホラーメディアが扱う理由
前作『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』は2006年。20年ぶりの完全新作です。
主人公は宮本武蔵。舞台は瘴気に侵された江戸初期の京都で、鬼と幻魔が跋扈します。

なぜホラーメディアが取り上げるのか。初代『鬼武者』(2001年)は「戦国バイオハザード」が開発当初の社内仮称で、『バイオハザード1.5』のエンジンを流用して生まれたシリーズだからです。
固定カメラの探索、鍵と扉、そして鬼。

本作はアクションに大きく舵を切っていますが、瘴気の京都を歩く感触には、その血が残っています。
鍵と仕掛けを解く場面も残っています。バイオほど難しくはありませんが、扉の前で立ち止まって考える、あの感触は確かにあります。
シリーズ未経験でも問題ありません。前作との直接の繋がりはなく、武蔵の物語として独立しています。
戦闘:一閃、力動、そしてSEKIRO
本作の核はシリーズでもお馴染みの「一閃」です。
敵の攻撃に合わせて弾き、力動を削り切って体勢を崩したら、崩し一閃で仕留める。決まったときの手応えは、今年遊んだアクションの中で群を抜いていました。ストーリーが進むと雑魚が固くなり、複数戦も増えるので、連鎖一閃を使いこなせるかどうかで快適さが変わります。
もうひとつの軸が「力動」ゲージ。敵の力動を削り切ると大技が入り、体力を大きく削れます。これは『SEKIRO』の体幹とほぼ同じ発想です。正直に言えば、私は本作に「SEKIROっぽさ」を感じました。
弾いて、崩して、決める。このリズムは鬼武者というよりSEKIRO的です。
ただしそれは「劣化SEKIRO」という意味ではありません。一閃というご褒美がある分、リズムが決まったときの爽快感はSEKIROより派手です。理不尽さも控えめで、「そこまで理不尽じゃないSEKIRO」という他のプレイヤーの表現が、私の感覚に一番近い。
防御と反撃の主な手段
この攻防を支える、防御の仕組みも見ていきます。本作は通常のアクションゲームと比べて防御の種類がかなり多く、ここを把握しているかどうかで「難しい」「ちょうどいい」の感想が分かれます。
| 種類 | 何が起きるか |
| 通常の防御 | 全方位の攻撃を防ぐ。ただし力動を消耗するので多用は禁物 |
| 受け流し | 受ける直前に防御すると受け流せる。相手に隙が生まれ、受け流された敵が設置物や他の敵にぶつかると力動を削るなどの効果も出る |
| 弾き | 攻撃を弾き返し、敵の力動を大きく削る。矢などの遠距離攻撃も弾き返せる |
| 鍔迫り合い | 受け流しか弾きの際に稀に発生。連打で押し勝てば受け流しと弾きの効果が両方出る。押し負けると力動が大きく減る |
| 見切り回避 | 無傷で避ける。敵の体術を見切った直後の攻撃は「追撃」になり、力動を大きく削る |
要は「防御から反撃へ」の派生が5系統あるということです。全部を使い分けている人は少ないと思います。私も40時間のうち大半は弾きを狙っていました。失敗も多かったですが、道中で回復アイテムを拾える場面が多いので、リスクはあまり考えずに弾いて反撃する。それで通りました。
覚えきれないと感じると思いますが、遊んでいると体が勝手に反応するようになります。問題はタイミングだけです。
弓と、6種類の鬼の武具
刀以外の手段も、使いどころを見極めると戦況が変わります。
弓は矢を消費しないので無限に撃てます。溜め撃ちなら雑魚はおおむね一撃。一部の敵は防具を弓で壊せて、壊すと体力を削りやすくなります。さらに一部のボス戦では、大技を弓で止めて反撃の機会を作れます。「便利」の中身はこれです。
鬼の武具は全6種類。私は場面と敵で使い分けていました。
| 武具 | 使いどころ |
| 双刀【二天】 | 命中時に黄魂(吸収すると体力回復)が多く出る。回復アイテムが足りないときに |
| 両刃【風巻】 | 雑魚の一掃。広範囲攻撃で、近くに篝火があると火炎のバフも乗ってかなり強い |
| 大鎚【地鳴】 | ボスの力動を大きく削る |
| 鋭鎗【閃空】 | ボスの体力を大きく削る |
| 魔笛【火鳥】 | 私は試しに使った程度。ただしクリア後に「炎上ビルド」の存在を知り、実は最強の武具ではないかと思っています |
| 太刀【止水】 | ボスと雑魚が入り乱れる場面。通常攻撃を強化して雑魚を掃除しつつ、奥義の斬撃でボスにも通す |
火鳥の炎上ビルドについては、クリア後に見つけたこちらの投稿が分かりやすい。テクニック不要で、体力と力動の両方を削れるとのことです。
難易度とラスボス
難易度は3段階。「活劇(物語重視)」、「剣戟(戦闘重視)」、そして剣戟をクリアすると解放される「鬼殺(最高難易度)」。鬼殺をクリアすると「毘沙門剣」が手に入ります。シリーズファンにはお馴染みの武器で、装備すると一閃が出しやすくなる。周回の動機づけとして良くできています。
私はアクションが好きなので剣戟モードで遊びました。道中のボスも初見ではかなり手強い。
「難しい」派と「ちょうどいい」派に感想が割れているのは、一閃の習熟度と、どのモードで遊んだかの差だと思います。
もうひとつ、難易度の感じ方を左右するのが育成の設計です。本作にレベルはありません。成長は装備の強化によるステータスUPと、スキルツリーによる能力の解放が中心で、数字を積んで敵を押し切る作りではない。新しい能力を得ても使いこなせなければ意味がなく、使いこなせる人は文字どおり鬼のように強くなります。「ゴリ押しできるか」は人による、というのが正直なところです。



だからこそ、能力を得たら小野篁(おののたかむら)が待つ「稽古」で、納得いくまで練習することを勧めます。私自身、「見切り連斬」を間違った理解のまま使い続けていました。見切りすることで、見切りゲージが溜まることに最終局面まで気づいていなかったのでした。もっと早く気づいていれば、40時間はもう少し短かったはずです。
ラスボスは、かなり強い。初見は文字どおり瞬殺されました。攻撃モーションが速く、遠距離からでも一瞬で間合いを詰められる。防御に徹する時間が長く、1時間強粘ってようやく倒しました。
ただし覚えゲーです。行動パターンと隙を覚えれば、最後は回復アイテムに余力を残して勝てました。「死にゲーと遜色ない」「2時間死にまくった」という投稿も見かけましたが、少なくとも私には大きな壁でした。
40時間の内訳:探索とサブクエ
40時間のうち、探索とサブクエストにも多くの時間を使いました。
探索で時間を食ったのは、歩ける道に気づかず別のエリアをうろうろしたからです。壁と道のデザインが同化していて、分かりにくい箇所がありました。京都の街は雰囲気が良いだけに、ここは惜しい。

サブクエストは前半からできる限りこなしました。道中のボスが強く感じたので、このまま進めると後半で苦しくなると判断したからです。結果的にそれは正解で、サブクエの報酬がなければラスボスはもっと辛かったはずです。そしてサブクエ自体が楽しかった。道中で得られる素材アイテムが多く、装備の強化で困る場面は少なかったです。苦行ではなく、寄り道が報われる設計です。
時間の目安として。私は40時間超ですが、Xでは24時間でサブストーリーまで完遂した報告や、30時間で狛犬とお使いを全部終えた報告もあります。探索で迷わず、一閃に早く慣れれば、もっと短く済むはずです。クリア時間は、探索と寄り道の進め方で大きく変わります。
気になった点
- 道と壁の見分けがつきにくく、探索の楽しさを削っている
- 「これは鬼武者か」という違和感は、シリーズファンほど強い。操作体系が大きく変わった
- ストーリーのテンポ(ネタバレ欄で後述)
他のプレイヤーはどう見たか
メタスコアはPS5版で85点(Metacritic、2026年9月15日時点・97件)。

内訳は好意的90件、賛否両論7件、否定的0件。Switch 2版は90点(15件)と、さらに高い。個人の感想でも「酷評が全然流れてこない」という投稿があり、アクションについては好意的な声が目立ちます。
割れているのは2点。ひとつは「鬼武者らしさ」。
もうひとつはストーリーの評価。「悪くないが絶賛するほどでもない」という声が私には一番しっくりきました。この方は作品全体をシリーズファンとして75点と評しています。
私の位置は、アクションは満点、鬼武者らしさは「別物として受け入れた」、ストーリーは王道派。
細部は動画で話します。
買うべき人・待つべき人
買うべき人
- パリィで戦うアクションが好き。フロムソフトウェアのゲームが好き
- 鬼武者に思い入れがある(違和感込みで楽しめる)
- ストーリーの余白(サブクエスト)を楽しめる
待つべき人
- テンポよくストーリーを追いたい
- 探索で迷うのがストレス
- 「昔の鬼武者」をそのまま求めている
- アクションが苦手(フロムソフトウェアのゲームで挫折した経験があるなら、少し慎重に)
ただしアクションが苦手な人には、活劇モードとアシスト(敵の攻撃時に対処ボタンを表示する機能)という選択肢があります。それらを使えば、死にゲーっぽさを味わいつつアクションも楽しめるのではないかと思います。
8,990円に見合うか。
私は見合ったと思います。40時間遊んで、まだ鬼殺モードが残っていますからね。
ここからネタバレを含みます
ストーリー:王道の英雄譚と、テンポへの不満
私は「王道の英雄譚」派です。望まない力(鬼の籠手)を背負わされた武蔵が、英雄らしからぬ未熟さから成長していく。籠手に宿る籠手女との掛け合いには人情があり、佐々木巌流との因縁、紫式部など伝承を絡めた人物も生きている。エンディングの達成感は本物でした。




ただし否定派の指摘にも頷けます。「火が付くのが遅い」「拠点に戻るたびに物語が切れる」「京都を歩く時間が長く目的が薄れる」。これは私が探索で迷った40時間と、同じ構造の裏表です。
私はその時間を楽しめたが、テンポを求める人には水増しに見える。歴史上の武蔵の人生をなぞる話ではないので、そこを期待すると肩透かしです。
ラスボスは2度変身し、戦術もスピードも変わります。初見で瞬殺されたのは、攻撃を仕掛けてくるモーションが見えなかった(実際にはよく観察すると見える)点と、1形態目の攻略法が2~3形態目で通用しなかったから。
アクションが苦手な人だと初見で心が折れそうになるはず。私も初見では勝てる気がしませんでした。


まとめ
剣戟の手触りは今年屈指。ストーリーは王道、テンポは人を選ぶ。
SEKIROが好きなら迷わず、
鬼武者ファンなら覚悟して、
テンポ重視なら様子見。
動画版(ハンクのホラゲーチャンネル)では、一閃の実際の映像と、ここに書ききれなかった細部を話します。
(※こんな情報がほしいみたいなリクエストあればコメント欄で教えてください!もしかしたら採用するかも!?)
そしてもうひとつ。カプコンは9月7日、「最近新作が出ていないIPの再活性化に注力する」と明言しました。門脇プロデューサーは「もっと鬼武者を作りたい」と語っています。20年ぶりの復活がなぜ今だったのか。
次回の記事で掘ります。
関連記事




コメント